スリー・サイズ・トゥ・エヴリ・ストーリー

エクストリームと言えば世界的に大ヒットしたバラード「more than words」を思い浮かべる人が多いでしょう。彼らの泣きメロディはたしかに素晴らしいので、その印象は間違っていません。でもそれ以外の面も知ってもらいたいのでその「more than words」の入っていないこの「III Sides To Every Story」を紹介します。
なぜ今エクストリームなのか。それは音楽界に「ミクスチャー」と言う言葉ができる前にハードロックとファンクをみごとに結びつけた張本人だからです。それはヌーノ・ベッテンコートの自己主張する変則的なギターサウンドと、ゲイリー・シェローンの一見メロディを無視したような自由奔放でかつ絶対の歌唱力を持つボーカルがあったからこそ。そしてそれらはどの誰とも似ていないオリジナリティを持っている事が、何よりも魅力的なのです。
その代表曲はやはりシングル曲 2.Rest In Peace 。ハードロックではなかなか無いバイオリンで始まったと思ったらいきなりヘヴィなギターソロが続くというイントロ。そしてはっきりとしたリズムドラムとPOPなコーラスをバックにそれをかき回すように歌うボーカル。曲の中に「広さ」を持った面白い曲です。
1.Warheads はヘヴィさとスピード感を前面に出し、でもサビではやはりPOPなコーラスをうまく融合させ単なる「速い曲」だけに終わっていません。4. Color Me Blind はクリーンで幻想的なコーラスで始まる曲。それだけにサビでもブリッジでも心に残る効果的なコーラスがねっちりとしたボーカルにもう一つの世界観を足しています。
5.Cupid's Dead は最もファンク色が強い曲。ファンクを毛嫌いしていた自分にその良さを教えてくれた一曲です。確実にハードロックなリフがそれを手助けしてくれたと思います。ギターソロも長いですがとにかく展開が面白いのであきません。7.Seven Sundays はキーボードが印象的な「more than words」とは違った一面をもったバラードです。スロウでメロウなメロディを厚いコーラスで盛り上げる「クイーンさ」が少し入った名曲です。8.Tragic Comic は中でも特に好きな一曲で、アコギとボーカルを前面に出したシンプルなPOPソングです。後半に一転する明るいメロディがそれまでのせつなさとの対比でより心地よい気分にさせてくれます。
10.Stop the world 以降は単純に「ファンクとハードロックの融合」と言う言葉では閉じられないドラマティックな世界が広がっていきます。それはこれまで見せてくれた「楽しさ」とは違った世界で、その伸びやかなボーカルで「気持ち良さ」を体感させてくれます。
くどいようですがエクストリームは「more than words」だけで説明が終わってしまうようなバンドではなく、これほどまでに豊かなバリエーションを持ったバンドです。基本的には解散状態になっている彼ら。一度もライブを体験できなかった事が本当に悔やまれます。
3/19-3/25's song : Tragic Comic / EXTREME
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