ナッシング・バット・トラブル

バンド名と言うものは非常に重要な要素で、その名前だけで「自分に合うかも」とか逆に「たぶんこのバンドはダメだな」と判断してしまったりする事もあるくらいで。
「BLUE MURDER」は直訳すると「青い殺人」、米俗では「怒りの声」と訳されますが、それでもかなりヘヴィでダークなイメージを持ってもおかしくない名前です。高校時代の私は、このバンドがデビューした当初は聴きもしないで「自分には合わない」と判断していました。
それがこのかわいらしいジャケットでリリースされた2ndアルバム「Nothin' But Trouble」('93)を見たとき「ん?もしかして想像とは違うバンド?」と思い、思い切って買ってみるとなんとも聴きやすいBONJOVIエアロスミスが既に好きだった私には超ストライクなハードロックバンドでした。
よくよく調べてみればそれは当たり前で、メインメンバーであるギタリスト兼ボーカル"John Sykes"は、80年代後半にBONJOVIなどと同様アメリカで大ヒットを飛ばしていたWHITESNAKEのギタリストであり作曲まで手がけていた人なのです。
このアルバムも裏WHITESNAKEアルバムといっていいほど同じ流れをくみ、ギター中心のヘヴィなサウンドを前面に出しながらも、ボーカルメロディがキャッチーでメロディアスであり、聞き惚れるほどの「ダンディズム」を持ったボーカルが特徴の超名盤です。
WHITESNAKEの流れをくみつつも彼らの独特の泥臭さを取りより洗礼されたハードロックに仕上げた「We All Fall Down」「Cry For Love」などといった曲を中心に、「Save My Love」のような超泣きのサビメロディ、超泣きのギターバラードをアルバムの真ん中に置き、でも「Dance」のようなその名の通りヘヴィさを持ったダンサンブルな変形ハードロック、「Shouldn't Have Let You Go」のようなWHITESNAKEにはちょっとないポップでありつつもスピード感のあるボーカルが特徴のキャッチーな曲も入れつつ、そしてそしてやっぱりWHITESNAKEにはこの人がいたんだと思わせるダイナミックなハードロック「I'm On Fire」がきちんと存在する、バラエティに富みつつも「ヘヴィなギター」をがっちりと軸にしたまとまりのあるアルバムに仕上がっています。
このバンドはほぼ"John Sykes"のバンドと言っても過言ではなく、「BLUE MURDER」から「Sykes」や「John Sykes」と名前を何度も変えながらいくつかアルバムをリリースしていますが、どれも共通したサウンドです。バンド名が何であれ、一度聴いてしまった者にとってはどんな名前でも彼のアルバムなら聴きたい!と思わせるパワーを持っています。ですからバンド名のイメージだけで「BLUE MURDER」を聴いた事のない方はまずはこのアルバムを聴いてその良さを知ってください。
10/22-28's song : Save My Love / BLUE MURDER
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