GET A GRIP / AEROSMITH

最近HardRock専門月刊誌Burrn!の増刊号METALLIONの特集がAEROSMITHだったので彼らのアルバムをレビューします。その特集を見るとデビュー当時の濃いロックンロールの彼らを本来の姿とし、80年代のハードロックブーム以降の幅広い音楽性を持った彼らを変わってしまった姿とし、最新作HONKIN' ON BOBOの濃いブルーズ&ロックンロール度を絶賛していました(スペースの関係上かなりはしょってます。87ページもの特集ですから実際には様々な意見が書かれています。)。しかし89年のPUMPからAEROSMITHを聴き始めた私にとっては90年代から00年代の決して立ち止まらない、新しいサウンドを求める彼らの音楽はAEROSMITHそのものであり、どれも愛すべきアルバムです。その中でも93年に出たGET A GRIPは最高傑作です。1.INTROでは過去の名曲WalkThisWayのフレーズを再構築し、これから始まるAmazingな世界をたった24秒で紹介し、2.EatTheRichでは強烈に頭に残るラップとリフを叩きつけ、3.GetAGripではこれぞAeroという泥臭さを心地よいだるさ加減で聴かせてくれ、4,Feverではオープニング時の速さを取り戻し、5.Livin'OnTheEdgeではこれぞシングルという緩急をつけた青春の泣きメロディが素晴らしい世界をここまで休むことなく一気に繰り広げてくれます。第2章の6.Fleshがはじまるまでは高まった心臓を一旦静めてくれる微妙な曲間がある事もベテランだからできる細かい技です。8.ShutUpAndDanceでは曲名の通り「スティーブンの声」というリズムカルな「楽器」を駆使し、エアロのダンスミュージックを聴かせてくれます。そして究極に泥くさいロッカバラード9.Cryin'でビシッと第2章を締めくくります。第3章ではLennyKravitzの作る新しいリズムロック12.LineUpがエアロサウンドと融合し、日本ボーナストラックである事が信じられない、このアルバムに無くてはならないこれぞエアロのロックンロール13.Can'tStopMessin'に全くもって自然に流れていきます。そして大クライマックス14.Amazingでやっぱり泣きのギターとメロディでこれまでの素晴らしい時間をもう一度、これまで以上に味合わせてくれます。最後の15.BoogieManはこれまでの心地よい疲れを癒すかのようなブルーズギターが2分間だらだらと続きついついもう一度再生ボタンを押してしまうのです。そんなGetAGripは確実に自信を持って勧められる本来の姿のAerosmithのアルバムです。
9/5-9/12's song : Amazing / AEROSMITH 
ゲット・ア・グリップ