Live to Win / Paul Stanley

Paul Stanleyと言えばKISSのボーカリスト。その説明はロックファンには説明は不要ですが、KISSに関してはさらに必要の無いレベルのバンドでしょう。最近ではCANONのEOS KISSのCMでも有名な、典型的な明るいパーティーロックンロールが特徴のバンドです。
http://cweb.canon.jp/camera/kissd/d_goods/cm/index.html
(でも、このCMの原曲がKISSの曲だと言う事を知らない人もいるんでしょうねえ。。)
そんなKISSのボーカリストのソロですので、その路線を貫くのか、もしくは思いっきり別の、例えば今流行のダーク路線に行くのか、発売前はそういう楽しみでいっぱいだったのですが、これが実際聴いてみるとKISSらしさがいい意味で抜けており、最近のBONJOVIにも感じられるメロディアスなダーク感をもち、しかもポビュラリティのある聴きやすいアルバムとなっていました。最初はKISSが頭にあったために突き抜ける明るさが無い事に若干の物足りなさを感じたのですが、そういう先入観が抜けた今はヘビーローテーションのアルバムとなっています。
BONJOVIに近い」と言う表現は、このアルバムの共作者としてデスモンド・チャイルドやアンドレアス・カールソンがその名を連ねているというと通の人は「なるほど!」と思うかもしれません。個人的には 1.LIVE TO WIN はその色を強く感じます。若干のマイナー感を持ちながらもサビに向かって盛り上がっていく雰囲気は、BON JOVIの "have a nice day"(厳密に言うとその二人はこの曲には関わっていませんが)に非常に良く似ています。同じく 3.Wake Up Screaming もその二人が関わっているせいかKISSにはない突き抜ける明るさではない、でもマイナーでポップでドラマティックな曲展開が味わえます。
4.Everytime I see you around なんかは割とKISSに近い若干バラード感のあるミディアムロックですが、サビに向かうと共にバンヘイレンのような雰囲気をもった大衆的なロックに変調していきます。5.Bulletproof と 6.All about you の持つドライブ感はこのアルバムの中で一番KISSに近いかもしれません。こういった曲があることはKISSファンには安心を与えるでしょう。
Paulの若干サビれた、でも、はっきりとしたいい意味で“真ん中の色”を持った独特のボーカルはバラードでも非常に生きてきますが、それは 7.Second to none で味わえます。アメリカ的なスケール感のあるロックバラードでビデオクリップを是非とも作ってもらいたい曲です。
ちなみに私はKISSは大好きですので、「KISSにはない良さ」と言う表現は別にKISSを否定しているわけではありません。伝えたいのはKISSのソロとして成立するアルバムではなく、KISSというブランドが無くても成立する良質のアルバムだと言う事です。ですからKISSファンはもちろん、KISS独特の明るさが苦手と言う人にもぜひ聴いてもらいたい“今の音”を持った素晴らしいアルバムです。

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12/17-23's song :All about you / Paul Stanley
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